【ネタバレ有】映画「DRAGON QUEST YOUR STOTY」感想
なんだかんだ言って観てきました。
ちなみに自分はドラクエは7、8、10、11しかプレイしてません。
それも7は小学生の頃でしたがあほな自分には石板の謎が難しすぎて投げました。
結論から言うと、
「そこそこ楽しめたが、メタフィクションをドラクエでやる必要なくね?」
って感じです。
メタフィクション(Metafiction)とは、フィクションについてのフィクション、小説というジャンル自体に言及・批評するような小説のこと
要は、映画やゲームのキャラクターが属する作中世界について言及することを言います。作中の人物が「おい、画面の向こうで最近は観ているお前」、とか語り掛けてくるのを想像するとわかりやすいです。小説の枠を外れて映画やアニメ、いろんな媒体でメタフィクションが持ち込まれてますね。
映画やゲームにメタフィクションを持ち込むのは別にいいと思います。本来の意味のメタフィクションとは違いますが、かの有名なマトリックスや、シャッターアイランドやインセプションなんかも、作品の中で完結しているメタフィクションですよね。あとは、ソードアートオンラインとか、ゲームでいうと、UNDERTALEとか。
面白い試みだとは思いますし、オーディエンスの意表を突くことだできる手法だと思いますが、今回に関しては題材がまずいのではなかったかなあと。
ドラクエです。多くの日本人にとってRPGの代名詞的存在であって、「ドラクエ」と聞いただけで剣や魔法、主人公やスライムの姿が思い浮かぶような、完全に確立された世界です。世界観が完成されすぎてて、そこにメタが入る余地がない。というか、ドラクエの世界に現実のかけらの一つも見え隠れしてほしくない。彼らは唯一無二の自我を持った純然とした主人公であり、ほかの何者の意思も介在しているはずがない。というか、そういうゲームデザインだったはず。
たぶんこれを観に来る人のうち、昔プレイした記憶を思い返す人も多いでしょう。
ドラクエでなくとも、ゲームをプレイして没入し、自らを主人公に投影してプレイしていた人も少なくないはず。
そういう人たちはそこで最後の展開になったときに、こう思ったかもしれません。というか、自分が思った。
「いや、現実に引き戻すなや」
ゲームの中、ドラクエの中でくらい主人公でいさせてくれや。しょぼい社会人でもドラクエの世界では自分は勇者で、やれライデイン、やれ雷光一閃突きだで確立された世界の中にいるんです。それを否定されちゃうとドラクエってなんやねん、RPGってなんやねんって話になるんですけど、みたいな。そもそもRPGの根幹として、主人公に感情移入させることが重要視されているはずですよね?メタ要素の登場で一気にリアルになってしまって、主人公を見る目が「うわこいつ他人に操作されてるんやん」ってなってしまって後半はかなり萎えた。感情移入どころか、完全に第三者的な視点で主人公を俯瞰してしまいました。致命的すぎる。
ドラクエじゃない新規題材でこういう話をやるのは悪くないと思うんですけどね。メタをやる以上それが許容される世界観じゃないとだめです。
観に来る人たちはドラクエファンの人も多いと思いますが、その層が求めてるのはドラクエらしいドラクエの物語なんじゃないですかねえ。YOUR STORYってそういう意味かよ。
ドラクエ全く知らない人がみたらどう思うんですかね?そういう方々にとってはドラクエが新規題材ということになりますし、世界観も固着してないでしょうし普通に楽しめるかもしれませんね。
結構けなしてますけど、普通に楽しめはしました。すらりんとゲレゲレはかわいいし、ギガンテス達が普通にルーラする所とか、主人公と魔物2匹がブオーンに消し炭にされて帰ってくるところなんかは笑えましたし。例の展開が始まるまではちゃんとドラクエしてたと思います。自分は5やってなくてミルドラースの見た目を知らなかったので、あのフリーザの最終形態みたいなミルドラースが出てきたとき、「え、昔のラスボスがこんな洗練されたシャープなデザイン!??」って思いました。そんなわけなかった。
まあけど、ドラクエはやりたくなりました。
7の石板の謎も、今やったら解けますかね?